福井市議会NPO議員連盟 発足式 基調講演 レジュメ

制作:2004.2.21
訂正:2004.3.2

 

ふくい県民活動センター 山口晋司
(福井県県民生活部男女参画・県民活動課) 

 こんにちは。福井市議会NPO議員連盟の発足おめでとうございます。

 このような場で、お話をさせて頂く機会を与えていただきお礼申し上げます。

 

 本日は、NPOについてという事でお時間をいただくのですが、その前に、釈迦に説法になるのを覚悟で地方自治、地方分権についてふれさせていただきます。

 NPOとは、また、NPOと行政の協働という考え方に非常に密接につながってくると考えるからです。

 

 地方自治という言葉には、2つの意味が含まれていると考えます。

 1つは、都道府県や市町村が、国から自立して行政をできるようにするという原理。いわゆる「団体自治」です。

 もう1つは、その自治体に暮らす住民が、地域の将来を自分たちの意思で決められるようにする原理。「住民自治」という考え方です。

 自治体が自主的な行政を行うためには、「団体自治」を保障する制度が不可欠です。一つの流れとして、市町村合併の推進、三位一体の改革、特に税源移譲があげられます。

 しかし、そこに、自治体の運営に住民が参加する「住民自治」の仕組み、具体的には、行政運営の基盤になる各種事業計画の策定やそれを受けた施策の実施に、住民が参画し、また、住民の意見をきちんと運営に反映させる仕組みがなければ、自治は完成しないと考えます。

 この2つの原理が両輪になって動くのが「地方自治」であり、そのように政治も経済も社会も動くように変えていく試みが、地方分権だといえるのではないでしょうか。

 

 こうした地方分権の流れと期をいつにするように、阪神・淡路大震災やロシアタンカー重油流出事故災害を通じて、社会的課題解決のため、主体的な問題意識と社会的使命に基づいて活躍するNPOの存在が注目されてきました。

 さらに、1998年12月に「特定非営利活動促進法」いわゆるNPO法が施行され、「自分たちの地域の課題は、自分たちで解決する」という市民の自主性・自発性と自己責任を基調とする公共の課題解決の原動力としてNPOの活動が広がりました。

 

 つまり、NPOは新たな公共の担い手であるわけです。

従来は、住民の共通の利益を実現するため公共は行政が担い、行政が行う領域が公共の領域でした。

また、今までは、公共を行政だけで担うことが求められ、それが可能な時代でした。

つまり、高度成長期にかけて都市への人口流出、急速な高齢化、核家族化、地域の繋がりの希薄化、それまで、家庭や地域が相互扶助で行ってきたこと、地域で支えてきたことができなくなり、行政に任せることが当たり前になりました。

右肩上がりの経済が続いていた時代には、そうしたことを税収で十二分に賄えていました。

行政の肥大化は、ある意味住民の要望がもたらした結果でもあったわけです。

 しかし、社会経済状況の大きな変化に伴う市民のニーズの多様化、バブル崩壊、公共サービスが必要な範囲に、必ずしも行政単独では、的確な形で応え切れない場合がでてきました。

 市民の参加と自己責任による地域社会づくりが必要になっている今こそ、行政は、ボランティアや地域コミュニティをはじめとするNPOと連携、協働し、多様化する市民のニーズに応じた、きめ細かい柔軟なサービスを提供しなければならないし、また、これからの公共は、市民と行政が連携、協力し、相互に自律し対等の関係で担っていくべきであると考えます。

 今日は、NPOとは、ということでお招きいただいたのですが、先になぜ今NPOなのか、公共を捉えなおしていくことからその答えが見つかるのではないかということで最初にお話させていただきました。

 

 さて、話は前後しましたが、NPOとは、NPOの特徴はといったことをお話しさせていただきます。

 NPOとは、「非営利組織」の略で、一般的には、営利を目的としない民間組織の総称として使われています。

 目的は儲けを追求することではなく、地域や社会の課題解決をすることだと言えます。自分の熱い思い、使命をエネルギーに活動する団体だといえるかも知れません。

 ここで、注意していただきたいのは、非営利とは儲かる仕事をしない「無償」で活動を行うことではなく、「利益」をNPOの構成員に分配しないことを意味します。収益活動を行わないことではありません。

 「無償で参加するよ」という人を巻き込んで活動することは、NPOの重要な特質の一つですが、かといって必要経費さえ出ないというのでは組織として継続しません。

 サービスを安定的に責任を持って継続して提供していくうえでも、NPOが有償で活動を行うことは、一般的なことです。

 利益が出れば分配せずに、目的の実現のために次の活動に使っていくことになります。

 

 一方企業は、広い意味で社会貢献を目指す組織である点ではNPOと変わりませんが、活動の目的は収益をあげることです。利益を追求し、儲けることで出資者等に配分することが、第一義の使命になります。

 行政との違いは、そのままNPOの特徴にもなるのですが、自主性、自発性、専門性、迅速性などです。

 自分たちが、やらなければならないと考えたこと、たとえば、地域のお年寄りがこういうことで困っている、ごみの問題をなんとかしなければならない、学校で行き場を失っている子どもがいる、そうした社会的な課題に対して、自分たちが良いと思うところまで徹底的にこだわりをもってやる。さらに、今、しなければならないことを仲間の合意があればすぐに取組める。こうしたことは、行政と大きく違うところです。

 行政の事業は税金をお預かりして実施します。したがって、そこには議会の合意を担保として、公平公正性が求められます。そうした仕組みゆえに意思決定に時間がかかるといわれます。事業の実施は前年度決定する予算に基づくことが原則になります。

 NPOと行政は組織その拠って立つところが違います。しかし、同じ公共を担っていくうえで、お互いがその違いを理解しなければ、協働は進みません。変えていくことも大事ですが、その前提として相互に理解することが重要になります。

 次に、NPO法人の話です。

 NPO法ができるまでは、100年前にできた民法により、公益のために活動しようとする団体が法人格を取ろうとすると、行政からの許可が必要でした。NPO法が特定非営利と言っているのは民法の特別法という位置づけからです。NPO法の目的は、一時、その名称が市民活動促進法として成立しようとする場面があったように、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進することにあり、そのため、行政の関与はなるべく少なくすることになっています。

 ですから、設立の要件は非常に緩やかです。10人以上の仲間がいて、法人を代表する理事が3人、監事が1人いればよい。財産は0からはじめられる。宗教や政治を主な目的とせず不特定多数の人への利益になるのであれば、書類さえ整えて県または、国に出せば、4ヵ月後に法人になることできます。特定の指す17の分野という縛りも、運用上、できるだけ広く解釈することは、国会で説明がなされたことでもあります。

 このように行政への手続きが簡易であるのは、NPO法人の活動をある意味で監督するのは行政であるより、むしろ、市民の方、一人ひとりであるからです。

 NPO法人だから、信用ができるのではなく、それぞれの活動の積み重ねにより、市民からの信用を高めていくことが必要になってきます。

 NPO法人だから信用できるというではなく、このNPO法人だから信頼できるが本来だと思います。

 信頼を担保する手段として、毎年1回事業報告書の作成が義務付けられています。これは、行政に出すために作るのではなく(もちろん出していただかなければならないのですが)、お金や労力を提供してくれる会員、市民への説明責任を果たしていくために作ることになります。

 市民へのサービスの継続性のために、法人を作ることは手段であり、法人を継続させていくことが重要になります。

 NPO法が施行され、2004年1月31日現在で県内で101のNPO法人を認証させていただきました。全国では、1万5千151団体になります。

 人口10万人あたりの認証数は1月31日現在で全国6位です。

 これは、国が行った平成13年度社会生活基本調査においてボランティア活動の行動者数が人口10万人にあたり全国7位であったことからも明らかなように社会貢献活動に非常に関心が高い県民性の表れと考えられます。

 また、まちづくりの活動を掲げるNPO法人が全体の44%を占めており、これは全国の39%に比べ高い比率となっています。

 都市部での商業圏の郊外化や農山村部での過疎化に対する県民の危機意識が高いことと、地域活性化に対する思いが強いことの表れだと考えられます。

 事業展開においては、まだまだ小規模な法人が多く、本県のNPOは発展段階にあるといえますが、環境の保全、国際交流、子どもの健全育成、情報化支援等の様々な分野で専門性と地域性を発揮し活躍しているNPOも多く、新たな公共の担い手として注目されています。

 敦賀の中池見湿地の保全に関して、粘り強く企業や行政に働き掛けてきた法人や、留学生たちの急な病気や事故に際して手を貸してあげられるよう、学生ボランティアに携帯電話をもってもらい通訳などのネットワークをつくっている法人、さらに、自宅を開放して、地域に住むお年寄りや障害者が心から安心して集える場所をつくった法人などがあります。

 そうしたNPOと協働を行っていくことは、行政施策を展開していく上でも重要になってきています。

 協働の際には、最低限度のルールとして6つが考えられます。

1 お互いが同じ課題解決の当事者であり、対等なパートナーであるといった対等の原則

2 NPOの活動が自主的かつ自己責任のもとで行われていることを前提とした自主性尊重の原則

3 相互に依存心が高まり、協働事業の効果的な遂行を困難にしないため、自律性、責任の明確化、関係の時限制の原則

4 組織の成り立ちや意思決定の方法などの相手の組織の違いを十分理解する相互理解の原則

5 公共的課題の解決こそが目的だという目的共有の原則、

6 透明で開かれた関係性を維持するため、さらに、対等性、相互理解、目的共有をきっちり担保するための情報公開の原則  です。

 また、行政サービスに、協働が広まることで次の効果が期待できます。

1 NPOの多くは、活動を通じて地域のニーズを的確に把握しており、特定の領域において高い専門性を有しています。さらに、行政に比べ、柔軟性・即応性に優れています。従って、個々のNPOの特性を活かした協働を進めることで、県民の多様なニーズに対して、きめ細かで柔軟なサービスの提供が可能になります。

2 若年から高齢者まで多様な県民によって組織されているNPOと協働で行政施策を形成、実施していく過程で、県民、市民の行政への参加が促進されます。

3 行政とは異なる発想・行動原理を持つ組織であるNPOと協働することは、既存事業の見直しや職員の意識改革の契機になります。

 本年度、県ではNPOからの企画提案による協働モデル事業を実施しました。

 協働することでより事業効果があがるか、県民からのニーズはあるか等の観点から6事業についてNPOから企画を公募したところ、17の団体から応募がありました。企画提案内容、および実施にあったて、行政が行うとどうしても均一的な事業になりがちですが、きめ細かで専門的な事業にしていただきました。

 福井県内の協働はまだ、始まったばかりですが、県民の皆さんの思いやエネルギーが絶えず県政に活かせるようなシステムの手段として、協働を推進していかなければならないと考えます。

 そのためにも、最初に申し上げたとおり、行政参画のためのシステム作り、NPOと行政が意見交換や様々な議論を積み重ねていける場づくり、機会づくりが必要であり、皆さんのお知恵をいただきながら、そうした取り組みを進めていきたいと考えています。

 どうかよろしくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、2004年3月28日午前10時から生活学習館ユーアイふくいで県内のNPO・ボランティアの交流フォーラムを開催させていただきます。こちらにいらっしゃるコラボNPOふくいさんを中心としたNPOの実行委員会形式で開催します。協働でつくる新しい社会というテーマになります。こちらの御案内も改めてさせていただきますので、どうかご参加いただけますようお願い申し上げましす。どうもありがとうございました。

 

 2004.2.21 14:00~17:00 福井市片町ホリーズ2Fにて

 参考動画サイト:http://homepage.mac.com/yokoha/iMovieTheater15.html

 福井県民活動センター:http://info.pref.fukui.jp/danken/npo/index.html

 

事務局長:マイク・ヨコハマ
info@mike.co.jp
Tel:090-3765-1097
Fax:0776-34-2766

 

 

 

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